症候性の脳動脈瘤

症候性の未破裂脳動脈瘤

 切迫破裂の状態にある動脈瘤

  破裂してないが、症状を起こす動脈瘤があります。 特に重要なのは目の症状で発症する切迫破裂の状態です。

  特定の部位に動脈瘤があり、これが神経に接触し、破裂前の炎症反応が起こると破裂する前にその神経の症状を起こすことがあります。 この状態を切迫破裂といいます。 つまり、破裂するのは時間の問題ということです。

  典型的なケースとしては目が二重に見える症状から始まります。 最初に目が二重にみえて、しばらくするとまぶたが下がっているという状態になります。 自分では気づくことが難しいですが、通常同じ側の目の瞳孔(瞳の部分)が反対側より大きくなる現象を伴います。 これらの症状は片側の目で起こり、医学的には「動眼神経麻痺」(どうがんしんけいまひ)という現象です。 目が二重にみえる、まぶたが下がってくる、瞳孔が反対側より大きくなっているという3つが揃った場合は非常に高い確率でこの切迫破裂の状態であることになります。 早期に(仕事を休んででも翌日の日中などに)専門病院を受診する必要があります。 破裂を起こしてしまうとくも膜下出血を起こしてしまうからです。

正常な状態での正中視の眼球の外見: 輻輳(近くのものをみるのに両目が寄っていること)がない状態での眼球の位置を示す。 
右側の動眼神経麻痺がある状態での正中視: 動眼神経は目と内側や上下に向かせる動きをします。 外側に向かせる動きは別の神経(外転神経)が司っているため、バランスがとれず、外転神経優位の眼位になります。 さらにまぶたが下がる(眼瞼下垂(がんけんかすい))および瞳孔の散大(瞳の部分が正常側と比べると大きくなっている。 これも動眼神経麻痺の症状の一部である)が認められます。 動眼神経麻痺の原因は様々なものがありますが、瞳孔散大を伴うものであれば圧迫病変の原因検索が必要です。
右を向かせると基本的には眼球の動きとしての問題は起こりません。(眼球を外に向かせるのは別の神経(外転神経)であるからです)
右動眼神経麻痺の状態では左に眼球を向かせようとすると右の眼球が内側を向く(内転)ことができないので、このような眼位のずれが目立ちます。  自覚的には右をみるときはそれほどではないが、左に目を向かせると二重に見える症状が増強します。

  眼科を受診して、上記が疑われて、脳神経外科に早期に紹介されないことも残念ながら遭遇することがあります。 しかし、これは脳動脈瘤の存在を一度否定する必要がある病態です。 著者は大学で医学生を指導しており、この病態についてはしつこく教育し、卒後にどの科に所属してもこの危険な病態を見逃すことがないようにしています。

 海綿静脈洞部脳動脈瘤

  海綿静脈洞は脳の底の部分(頭蓋底部といいます)にある静脈の交差点(海綿静脈洞の構造へのリンク)のようなものであるが、特徴的なのは静脈洞の中を動脈が通過することです。 この動脈は脳への血流供給の大変を担っている内頚動脈というものであり、通常左右に存在します。 この海綿静脈洞内を通過するところの内頚動脈に動脈瘤が発生することがあります。 この部位の動脈瘤は破裂しにくいのが特徴ですが、海綿静脈洞内の神経を圧迫しすることがあります。 それによって、片側の顔がしびれたり、目の動きがおかしくなったりします。 これらの症状の通常持続的にあり、徐々に悪化することが多いです。 手術によってこの圧迫を解除する必要があります。

  まれに海綿静脈洞内の脳動脈瘤が破裂することがあります。 この場合、頚動脈海綿静脈洞瘻という病態が発生し、目の充血、複視などの目の症状以外に脳の静脈への逆流によって、脳出血などを起こすこともまれにあります。

  さらにまれなケースでは海綿静脈洞内の動脈瘤が極端に大きくなって、頭蓋骨を壊し、鼻腔内に突出し、破裂することがあります。 この場合、急に大量の出血となり、救命困難になることが多い状態になります。 幸い、このような状態までになるには非常長い年月が必要で、現在の医療レベルではその前に治療が行われていることがほとんどで、遭遇することは非常にまれです。